こわい人
いつも怒っている人はべつに怖くない。
常に何かに怒っている人は、大抵、ひとつひとつの怒りの深度は浅い。
怖いのは、一見とても愛想がよいのに、ささいなことで手のひらを返す人たちだ。
この手の人たちの共通点は、よく知りもしないうちから、相手のことを大絶賛することだ。
ささいなことに感激して、勝手に相手を完璧だと信じてしまう。
そして、自分の愛した完璧なものには惜しげもなく金や愛情を注ぐ。
だから、その完璧な相手に少しでもケチがつくと、烈火のごとく怒り出す。
おそらくそういう人は、何かを好きになるたびに同じことを繰り返しているだろう。
小さなことで過剰に信じるから、小さなことで裏切られたと感じる。
全力で愛したものに、それと同じだけあるいは倍になった憎しみを覚えるのはとても苦しいことだろう。だから怒るんだろうし。
怒りのきっかけが相手のミスだったり、小さな無礼だったり、客観的に見て相手が悪い場合が多いから、なかなか自分の考え方の癖に気づかないようだ。
結果、彼らはあらゆる事物に対して同じことを何度経験しても、人間だれしも間違うことはある、という境地にはなれない。
ただ、こういう状態は、普段そうでない人でも、恋愛などの感情が強く揺れる場面でなら十分起こり得るだろう。
身の回りで苦しいことや腹立たしいことが起こったら、自分の感情が過剰でないか振り返ろうと思う。
相手のことをよく知ろうとしたか、期待しすぎていなかったか、勝手な人物像を押し付けていなかったか。
ちょっと立ち止まって考えると、楽になれるかもしれない。
以上、こわい人から学んだことでした。